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人と地球に貢献しますエコリカ

キヤノン株式会社に対する訴訟の判決に関するお知らせ。

お知らせ
2023年6月5日

株式会社エコリカ(本社:大阪市中央区、代表取締役社長宗廣宗三)は、キヤノン株式会社(本社:東京都大田区代表取締役会長兼社長CEO 御手洗富士夫)に対して、「大阪地方裁判所令和2年(ワ)第10073号 独占禁止法違反行為差止等請求事件」を提起しておりましたが、同訴訟についての判決が、2023年6月2日大阪地方裁判所第4民事部(裁判長谷村武則)にて言い渡されましたのでお知らせいたします。

結果、当社の主張が認められず棄却されましたので、その経緯と今後の見通しについてお知らせいたします。

なお2023年6月5日現在では本件訴訟を通して明らかになった事実から、当社380・381 シリーズリサイクルインクは当社の特許技術を採用した「ecoly chip」に貼り替えることで下記に記載のあるすべての不具合を解消しており、今後も従前の製品同様安心してご利用頂けますことを付記いたします。

【背景と経緯】

当社は2003年の設立以来「リサイクル可能な商品のリユース・リサイクルを行うことは社会にとって必要」との観点から、エコロジーサイクルンパニーのエコリカとして、大量に廃棄されるインクカートリッジに注目し、リユースカートリッジ(先行していたリサイクルトナーの呼称を踏襲しリサイクルインクと呼んでいます)の回収と販売を、日本一の規模で長期にわたって実施しておりました。
弊社の製品の特長は

  • ◎純正メーカーでも実現できていないリユースインクカートリッジであること
  • ◎安くて高品質であることはもちろん、使用するインクは人体・環境にとって安全であること
  • ◎純正品と同等の機能(インク残量の表示とインクエンド時の印字停止等)を有すること
  • ◎当社リサイクルインクが原因でのプリンター本体の故障については、プリンター本体の修理・保証を行うこと
  • ◎土日・祭日を含めたフリーダイヤルによるユーザーサポートを実施し安心を提供すること
    ・・・・・(一部制限がございます)

など「インクカートリッジといえばエコリカ」と、日本ではキヤノン社に限らず他社においても純正品に次いで2番手の販売数に成長しており、当社が再使用したカートリッジは累計2億個以上となっています。(2023年03月現在)更には消費者のみなさんの環境を意識した商品選択を助け、持続可能な社会の形成をはかっていくことを目的とした環境認証ラベル「エコマーク」の認証第一号を取得しております。

ところが、キヤノン株式会社が2017年9月より発売を開始したBCI380シリーズの各種インクカートリッジをそのまま再使用した場合、カートリッジに取り付けてあるICチップ(記憶素子)が従前のインクカートリッジと全く異なる記憶素子に変更されており、インク残量の初期化(リセット)が物理的にできない方式を採用したことがわかってきました。
※本件訴訟の経過に従って当該製品のICチップは1度しか書き込みが出来ない素子ですべてのメモリーを構成し、プリンターが一度情報を書き込むと以後二度と書き換えることができないヒューズROMになっており、回路を物理的に破壊する事でそれ以後の書き換え及び再使用を不可能にして、従来方式ではリサイクルインクが発売できなくなっていたことが判明しました。

この行為によって、下記の不具合が発生することになりました。

  • ①純正品であればプリンターに装着した際に各色(5又は6色)毎のインク残量が表示される機能(インク残量表示機能)がリサイクルインクでは全て作動しなくなり、5又は6色のカートリッジ全てのインクの交換のタイミングが不明となります。
  • ②純正品であればいずれかのインクがなくなった際に印字停止される機能(インクエンドストップ機能)がリサイクルインクでは全て作動しなくなり、高価な印刷用紙が大量に無駄になります。
    ※被告は印字中に目を離すことなく目視を続ければ、薄くなったタイミングで交換して最小限で防げると主張
  • ③1色でもインクが切れたままの印字動作(空打ち)を継続した場合、キヤノンのプリントヘッドの構造上ヘッドを損傷させる可能性があります。
    特に③については、当社でヘッド交換による本体修理ができませんので、修理代を当社が負担をした上でキヤノンに有償修理を依頼することになり(概算で12,000円以上)、1,000円前後で純正品よりも安価に販売したとしても12,000円以上の修理代と無駄にした印刷用紙を常時負担しなければならなくなる販売は到底考えられませんでした。

そこで、当社はインク残量を初期化することを妨げる行為等が、当社リサイクル品の製造・販売を妨げているとの考えから、インクカートリッジ市場に弊社が参入することを妨ぐ行為の差し止め等を求める訴えを起こすと同時に、安易な競争者妨害手段に頼らず従来のIC-Chipの方式を継続しておれば純正品の発売以後1年6か月後には当社による製品化が可能であったことから、本妨害行為がなければ少なくとも3,000万円以上の損害が発生しなかったことで本件訴訟に至った次第です。

【判決の内容について】

裁判においては、当社の主張の多くは認めていただきましたが、以下の点では当社の主張と大きく食い違っており、その結論において当社の望む判決には至りませんでした。
判決の内容から抜粋しますと

  • A)インクカートリッジにおける本質的な機能は印刷に必要なインクを供給することにあって、インクエンドサイン等(インク残量表示機能、インクエンドストップ機能等を総称する趣旨と考えられる)は、インクカートリッジの本質的な機能ではなく、印刷を円滑に行う為の付随機能の1つである。
  • B)(リサイクルインクは)価格が安いことが評価されて選択され、家庭での利用が多い
  • C)インクエンドのサイン等の機能の有無をリサイクルインクの選択の条件とすることは少ないと考えられる
  • D)そのため、インクエンドサイン等の機能が利用できない設計を採用することが競争手段として直ちに不公正であるというのは困難である

と結んでいます。

原告としては、ヘッド一体型等の特殊な方式のインクカートリッジを除いて、A)及びC)において言及されている機能については、機能があればなお良いといった余分な機能ではなく、「当然備えていなければならない必須の機能」であり、官公庁の入札等においても、あえてこれら機能を備えていることと但し書きがつくなど、ユーザーが商品を選択するうえで重視される印刷機能の一部であり、リサイクルインクに対してのみこれら機能が作動しない仕様とすることは、競争者に対して著しい競争上の不利益を与える行為であると主張してきましたが、裁判所には理解いただけなかったのが残念です。
またB)については、リサイクルインクは主としてネットショップ等で販売される中国製に代表される互換インクカートリッジ(リサイクルではない互換インク)より高額で販売されていることから、単に価格が安いことを求めるのであればリサイクルインクには勝ち目がなく、品質の高さと純正品と同じ使い勝手で選択されていることが看過されています。

【結び】

今回の判決は、リサイクルインクのリーディングカンパニーとして20年以上ユーザーにサービスを提供してきた会社として断じて受け入れがたく、被告が実行したこのような安易で且つ確実に競争者を排除する行為が他のプリンターメーカーに広がれば、リサイクルインク業界は成り立たなくなり、結果ユーザーが安価で且つ高品質、更には環境負荷低減に寄与するリサイクル製品を使用することができなくなって、消費者の利益や環境貢献にもつながらないとの思いから、当社はやむなく本件訴訟に至りました。当社では、今後、控訴を含む必要な対応を検討しています。

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